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『仕事を成し遂げる技術』感想

仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法

『仕事を成し遂げる技術』のこまごました感想です。

まずはソースをあたれ

 『ストレスフリーの仕事術』とあわせてGTDの読本としてまず最初にあげられる本です。読本としてほかに『Life Hacks PRESS』といったようなものもありますが、『仕事を成し遂げる技術』は、GTDにつまづいた人に特に読んでほしい本です。

 というのも、web界隈でよく説明されるGTDの説明については、原本である『仕事を成し遂げる技術』から、少なからず情報に若干の誤差が生じているからです。  特に誤差として感じたのはスコープについてです。『仕事を成し遂げる技術』では、物理的な乱雑とした書類を含めた、すべてのものに対して、GTDのフローを行うように推奨しています。web界隈では、これがどこで欠落したのかはわかりませんが、頭の中にのみスコープされがちです。  確かに、精神的世界のみスコープを限定し、そこから物理的世界までにスコープを広げるのは、最初のとっかかりとしてはよいかもしれません。ですが、『仕事を成し遂げる技術』ですっきり感を味わい、次につなげていきたいのであれば、物理的な判断に困ったものも最初からスコープにいれて、フローを行ったほうがより有益です。目に見えてものが少なくなる光景は、恍惚感を味わえることでしょう。

わからない部分がより明確に

 webだけの情報を追っているだけだと、ソースにあたらないがために、いくつかの項目については、不十分な理解になりやすいと思います。  例えば、タスクとプロジェクトの関係性については、実際に実行する際には非常に悩むところではないかと思います。『仕事を成し遂げる技術』では、タスクが複数必要なものをプロジェクトと定義しています。GTDでは、システマティックに分類ができるように分類ステップから整理ステップまでフローを提供していますが、実際のところ、選択する以外の考えるべき部分がある、ということを忘れがちです。

 また、ActionやProject、Calendar等のカテゴリについても悩むことも多いことかと思います。私自身も、web上の情報からGTDを実践したので、カテゴリについて、一体どんな意味合いがあるのか最初は理解できませんでした。原本が、厳密にカテゴリの原理を明示しているわけではありませんが、理解の糧となるでしょう。私の理解している上では、自分自身がそれを実行すると決めたか決めていないか、そしてその決めた内容が複数行動が必要かどうかそしてその根っこ、束ねるものは何なのか、の二点を捕まえるのみに集中しているものだと、理解しています。

本の難しさについて

 本のフォーマットについて。全体を把握するにはかなり難しいフォーマットです。見出しに番号がなく、一体どこまで進んだのかよくわからないことがあります。  ボリュームについて。かなり多いです。3章仕立てとありますが、章ごとのボリュームが全くことなります。2章がほかの章の2倍ぐらいのボリュームになっています。これは、通常のビジネス本ではあまり見られないタイプです。だいたいひとつの章のボリュームは均等で、私たち読者は、無意識的にこの章はこれくらいで終わるだろうと思いながら、本を読み進めます。しかしながら、この本では2章に入ると、読んでも読んでも終わりません。その不均等なボリュームが、理解にムラを生じさせている一端であるかもしれません。

内容について

 1章は概要、2章は実践、3章は理論といったまとまりになっています。

 1章ではGTDのよく言われる5つのステップについて概要を説明しています。だいたいweb上ではこのレベルのものが説明されています。

 2章については、蜜に実践方法を説明しています。この部分は非常に大切な部分であり、この本が読むに値すべきと決定づけているものです。というのも、著者David自身がコンサルティングで行っている際の内容を抜き出して説明しており、Davidがクライアントに行っている内容の一部を知ることができるからです。  説明は、まず必要な道具から説明しており、ちゃんと誰でも実行できるように説明しようとしていることがわかります。  この説明は、GTDであるからこそできた説明であろうなとひしひしと感じられます。私がマネジメント系でいつも感じるのは、方法を説明していても何か不足しているという気分を味わうからです。理論はわかった。やり方も書いてある。でもなぜかできない。そんな本に出会ったことはないでしょうか? それが『仕事を成し遂げる技術』の中では、全くなく、極めてコマンドに近いレベルで説明しています。  実践するための本なのに、実践の仕方が書いてなくてはもともこもないですからね。

 3章について。3章は理論の説明です。ただ、3章については、ある程度GTDをそれなりに理解した上でないと、理解しにくいものだと思います。この部分は何回か繰り返し読むことがよいでしょう。

この本との付き合い方について

 この本は、理論本というよりは、実践書に近い書き方になっています。そのため、一度読んではい終わり、というのではなく、GTDを実践する上で何度か見返してマニュアルとして読み直すのがベターです。実際、私もそのように何度も見返して読んでいます。

 特に、GTDを実践していて、つまづいた時に読む本として重宝します。そういう意味では、GTDについて過不足なく書くことができた良本です。そうして読み直した時に、前はピンとこなかったものが腑におちる、といったこともあります。

翻訳について

 翻訳については、諸所の場所でよく言われていますが、本の内容を吸収しようという姿勢が一番大切です。今実行することに最大の注力を、というのはDavidが繰り返し説明していることですが、この本を読むこと自体にも、同じことが言えます。本当に本を理解しようとなると、翻訳の質をかまっている暇はないのですから。