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飯と酒と時々GTD

読書ログ 忘れる人の忘れるためのメモ 「忘れられない脳」

円城塔先生が読書メーターで褒めてた本を勝手にまとめた - 基本読書」から知った円城塔先生が読書メーターで褒めてた本シリーズその2。よい本でした。特に、、「偉大な記憶力の物語」と合わせて読むと、とても面白いです。同じ記憶力なのに、まったく別物と進化しているので。両方オススメです。

 

忘れられない脳 記憶の檻に閉じ込められた私
ジル プライス, バート デービス
武田ランダムハウスジャパン ( 2009-08-20 )
ISBN: 9784270005255

 

が、メモが多すぎくなったので、私の感想は箇条書き程度で終了です。

  • 記憶力のいい友人はよくフラッシュバックをして困るという話を聞いたことがあるが、この本の作者で驚異的な記憶力を持つジルも同じようなフラッシュバックを起こしていたのが印象的である。
  • そのときの、彼女の対応策が他の記憶と繋げることで制御するというのが興味深い。
  • 作中でもあったが、「偉大な記憶力の物語」のシィーとは別の部類の記憶力が異なるという点も面白い。
  • しかしながら、ジルとシィーの共通点もある。隆起する記憶によって思考を遮られる点だ。
  • この思考を遮られる点は、私も思い当たることがある。思考が別の思考で遮られる。私の場合は、脳内査問委員会によるツッコミ三昧。
  • 特に139ページ部分は、私にも思い当たる節がある!! 脳内ツッコミばっかりで未来を考えてる暇がなかった!
  • 書いたり、話したりすることによる形状変換は確かに私も記憶がある。ジルの場合は、記憶が強固で可変しないし、何か新しい形状に遷移しても、データ欠損がない。私の場合はデータ欠損どころか、他の記憶といっしょくたにして遷移し、データ変換が行われる。形が最初の状態で居続ける時間は少ない

ここ最近、思い出す方法や、記憶の形状は人によって異なるものだとは思っていたけれども、そのユースケースを見ることができたのでほくほくした。これが、乱雑な机でも手を出してはいけないことに繋がるんだろーな、と思うわけだ。

GTDの枠の取り方が非常にうまいのは、そういう枠の取り方が、一番適した方法が人それぞれであることを知っているからだ。そしてその枠の取り方のルールをGTD自体では、必要以上の部分は決めていない点である。

私は、ファイルはイベント毎のフォルダに入れておかないと落ち着かない人間だ。しかし、そんなフォルダも必要とせず、ファイル名と日付だけでファイルを特定できる人もいる。それを知ったのも2~3年程前のことになる。

詳細に関するメモが取った本人でしか役に立たないのも、想起パターンが人とで全く異なるから。想起する神経をなぞることで、それに合わせてその時のやわらかい記憶も引っ張ってこれるのだ。

彼女の記憶をてなづける方法は、PTSDなどの記憶フラッシュの強い人の対処方法についてもなんらかの示唆があるのではないだろうか。彼女の採っている方法は、別の記憶で記憶を押しやることだった。

 

以下読書メモ。

たとえば、10歳のときに家で子ども向けテレビ番組『愉快なブラディ一家』を見ていたときの光景が、ふと脳裏をよぎる。すると次の瞬間、いきなり17歳のときの記憶にとんで、私は仲のよい友だち数人とドライブを楽しんでいる。と思うと、その直後に、3歳のときに家族といっしょに海辺に行ったときのシーンが浮かぶ。

via 忘れられない脳 P11

 

長いこと自分の記憶とつきあっているうちに、私は奔放に暴れまわる記憶を少しだけてなづける方法を見つけだした。ある特定の日にちを思い浮かべて、同じ日付の記憶を時系列に順番に思い出すのだ。こうして記憶を少しでも秩序づけることで、気持ちがいくぶん落ち着く気がするのだった。

via 忘れられない脳 P44

 

いろんなことを覚えていて、それを自在に思い出せるという点では、私は自分の記憶力のよさをとても誇りに思っていた。
だが問題は、記憶が自分の意識を離れて勝手に走りだして、私の頭のなかを駆けめぐってしまうこと。これを制御できないことはとにかく苦痛だ。ランダムにさまざまなことが頭に浮かんでくる。抑えようとしても勝手に激しく動き出す。頭のなかに映画のスクリーンがあって、これまでの人生のことを小刻みに映写しているような状態。これをなんとかすることはできないのだろうか。

via 忘れられない脳 P51

 

落ち込んでいるとき、私は自分で”トラベリング(旅行)”と名付けた、記憶のなかの大好きな部分へ行く。そこは幼少のころにニューヨークとニュージャージーの郊外で過ごした日々で、そこでの年月はものにも替えがたい大切な記憶となっている。暴走する記憶に頭のなかをかき回されてつらいとき、私はその当時の記憶に逃げ込むのだ。余計なことをいろいろ知らなかった当時の記憶にひたっていると、とても癒される。

via 忘れられない脳 P54

 

当時の私にまだ「死」を理解することはできなかったが、お父さんがもう二度と戻ってこないというのは理解できた。それはつらく悲しく耐えがたいことだった。そのつらさから逃れるために、私は几帳面なお父さんという姿を強く思い描こうとしたのかもしれない。

via 忘れられない脳 P110

 

引っ越しでは、ほとほと疲れ果てた。ニュージャージーでの最後の日々、私は連日絶望的な気分を味わっていた。友だちもみんなとても寂しがってくれた。いよいよ明日引っ越すという日の前夜、母とマイケルと私は、母の部屋で3人して涙にくれたものだった。
この引っ越しによって、自分の世界が粉々に砕けそうに思えた。

via 忘れられない脳 P128

 

カリフォルニアに転居後しばらくすると、私の記憶は頭のなかで目まぐるしく暴れ出し、制御が利かなくなってしまった。その暴走は2段階で進行した。1段階目は私が11歳のとき、2段階目が14歳になったときだ。

via 忘れられない脳 P130

 

自我意識と記憶力、どっちが先なのかという点に、私の感心は強くそそられる。私は、より多くの自伝的な記憶を蓄えるようになるために自我の意識が発達してくるのか、それとも確固とした自我が確立されるために記憶量が増加するのか。

via 忘れられない脳 P131

 

私たちは、自分の人生をこんなふうにしたいとはっきり思い描いてそうしているわけではない。ある程度は意識するが、実際には思いどおりにいかないことのほうがはるかに多い。自己イメージのように人生が進まないことをあまり深刻に考えて反芻しすぎると、うつ病につながってしまう。悪くすると、生きている意味はないように思えて自殺を考えるようになる。思春期に自殺を図る人が多いのは、この時期に自我を獲得しようと真剣にもがくことが、ときに足かせになってしまうからだ。

via 忘れられない脳 P135

 

ところが、前向きに自己実現のイメージをふくらませていく年齢のときに、私は脳のなかで記憶が暴れまわるようになってしまったので、過去に引き戻されてばかりいて、未来のことを考えたくても考えられなかったのだ。

via 忘れられない脳 P139

 

ただ、はっきりわかっていることがある。通常、人は思春期の後半から20代にかけて、長期記憶すべき内容を自己のなかで取捨選択し、一貫性をもたせて自己イメージをつくる、ということだ。
そのプロセスが私にはなかった。

via 忘れられない脳 P158

 

そのとき私はこう答えた。
「なぜなのかは自分でもよくわからない。ただ、書くことによって記憶がほんものになるような気がするの。書くことで、その記憶の内容がほんとうにあったということを、体でも、心でも確認できるという感じ。実際に目に見え、手にとって触れられるものになっていないと、記憶だけではダメみたい」

via 忘れられない脳 P166

 

先ほど私は「日記をつけているときだけは、記憶が暴れまわる状態を自分でも驚くほど制御できる」と書いたが、つらく苦しい記憶の場合は、制御することがとてもむずかしい。

via 忘れられない脳 P172

 

自分史年表を作ってみて、私は自分の生涯で重要なできごとがわかるようになった。あらためて自分自身がどのようにできごとを把握し、記憶をどう分類しているのか、よく理解できた。

via 忘れられない脳 P178

 

私にとって、未来は過去の連続にすぎなかった。このことは、私が自分史に神話性をもたせられなかったことと表裏一体の問題だと言えるだろう。

via 忘れられない脳 P179

 

あのころのことを、父はのちにこう語っている。14歳のときから家族みんなの面倒を見、結婚してからは自分の家族の面倒を見てきた。一方、その間に仕事の道も自分で切りひらいてきた。責任ある地位に就き、、いろんな人が助けを求めて父のところへやって来る。それに対応するのは骨の折れることでもあった。せめて家に帰ったら家族と笑顔でくつろぎたかったのに、その家族が、もはや父の手に負えなくなってしまった。せめて家にいるときぐらいは、心の休まる平穏な時間がもちたかった……。

via 忘れられない脳 P203

 

ある意味では、この「話す」という方法は日記をつけることとよく似ていると思う。記憶をいったん言葉にすることにより、新たな方法で記憶を所有したことになるから。

via 忘れられない脳 P207

 

この書面のなかで私がもっとも元気づけられた言葉は、私の記憶力は明らかにふつうの人とは違っており、脳が受けた情報を通常とは異なる方法で認知し処理していることが確認された、という点だった。

via 忘れられない脳 P226

 

「まずは友だちとしてでいいんだけど、どうすれば君のことをもっと知ることができるようになれる?」
私はなんと答えたらいいかとまどったが、そう聞いてくれたことをうれしく思った。

via 忘れられない脳 P235

 

ジムは私の胸が早鐘を打っていると言った。さらに、私の不安な気持ちを見抜いて安心させるかのように、「きれいだ。セクシーだ」と言葉をかけてくれた。これはそれから私がジムといっしょに過ごした日々に、ジムが毎日言ってくれた言葉でもある。

via 忘れられない脳 P244