GTDで議論されることの一つにある「いつか」のリストと「プロジェクト」のリスト。この判断基準がいつも不明瞭でわかりにくいことだと思う。
私が、こういう意味なんだ、と感じたエピソードがあるのでそれを紹介したい。
とあるプロジェクトのガントチャートと課題リスト
会社の仕事プロジェクトで、進捗管理をしていたときの話だ。数年単位のスケジュールのため、プロジェクトはMicrosoft Projectでガントチャートを作成し、作業を進めていた。
そんな中、作業を進めているうちに自然と課題が出てくる。それらの課題はガントチャートではなく、課題リストに記載し、管理する。
この課題リストの内容は様々だ。すぐに消化できるものもあるし、そういったものは数日で課題リストから完了する。しかし、調査した結果、プロジェクトの計画に影響が生じるものもある。
とある課題は、プログラムソース上の問題で、開発とは別途調査を行い対応する必要がでてきた。リーダーは、課題を、課題リストからMicrosoft Projectにぴょこっと移し替えた。Microsoft Projectにはその課題のための線表がひかれ、そして課題は課題リストからは消えた。
またとある課題が出てきた。お客様から新しい要望が出てきたのだ。これこれこういう機能が付けたい、という新たな要件定義。プロジェクトも後半に差し掛かろうとしてんのにそんな余裕ないだろすっとこどっこい、と思いながら課題リストに入れる人は多いだろう。プロジェクトはそんな余裕は全くなく、次回の開発の要望リストに転記され、課題リストの課題としてはクローズした。
課題リストはInbox、ガントチャートは「プロジェクト」リスト、要望リストはSomeday
上記の場合、以下のリストが出てきている。
- 課題リスト
- Microsoft Projectのガントチャート
- 要望リスト
これは、GTDで言うなら以下に相当する。
- 課題リスト=Inbox
- Microsoft Projectのガントチャート=「プロジェクト」リスト
- 要望リスト=「いつか」リスト
課題がプロジェクトの計画表に組み込まれるときとそうでないときがある。これはどういう違いがあるだろう?
それは、課題が実際に達成しなくてはならないものであるかそうでないかである。とある課題はスケジュールが厳しくても組み込まざるを得なかったものもある。組み込まれなかったお客さまの要望は、スケジュールを厳しくしてまで許容できるものではなかったりする。それらは、プロジェクトとして実施するかしないか判断される。
実施すると判断されたものは、Microsoft Projectのガントチャートの「プロジェクト」リストに。
実施しないと判断されたものは、要望リストの「いつか」リストに。
「いつか」は決めの問題
私は、いつも「いつか」は決めの問題だと思っていて、そのように話している。いずれにせよ、実行しなければならないものがあるならばそれは「プロジェクト」リストだし、今は達成させる必要がないものならばそれは「いつか」リストだ。
課題がプロジェクトの線表に含まれた時のことを思い出してほしい。それは、限られた時間、リソースや状況などを加味した上で、実行しなくてはならないと結論に至った。至ったがゆえに、完了しなければならないプロジェクト計画表に組み込まれたものである。このキワを分つものこそが、仕事では「要望リスト」と「Microsoft Projectのガントチャート」であり、GTDでは「いつか」リストと「プロジェクト」リストなのである。
仕事のプロジェクトならうまくいくのに、なぜ自分ごとならうまくいかないのか、そう考える諸氏も多かろう。
仕事のプロジェクトの場合、範囲をどこからどこまでするか、最初に決める。いわゆるスコープだ。だから、これはプロジェクトの対象になるならないの判断ができる。
一方、自分ごとの場合、どこまで自分ごととして捉えるかが曖昧だ。やるべきことの範囲のみならず、時間についてもである。そして時間が経つだけでしたいことしなければならないことは増える、仕事で言うなら時間が過ぎるだけで課題リストが山積みだ。
現場の人間からしたら溜まったものではない。これが、私たちという人間内で起こっている仕事の現状だ。だからまぁ、毎度自分炎上案件になるのも致し方ないのだよな、うん。
GTDだとおおよそ1年以内に決着をつけたいものが「プロジェクト」リスト行き
とはいっても目安をくれと言われるらしく、GTDの公式では、「プロジェクト」リストにはだいたい一年以内に決着がつくものを入れましょうと、推奨している。これは人はおおよそ年間計画を立てて考えることも多いため、運用に適っている。
そして、「プロジェクト」リストには、10から100個ぐらいまで常時存在しているものだとしている。100個…!とびっくりする数だが、ウェブサービスのサブスクリプションチェックを毎年見直すことを組み込んでいても、そこそこの数になるのだ。
プロジェクトの目安となる1年は、あくまで目安だ。だから、何かの大会が2年後に控えていて、それで何が何でも勝ちたいと思っていたら、2年後の大会に向けてのプロジェクトが当然あっておかしくない。それぐらい、ブレのある1年だ。
プロジェクトは現状稼働中の絞り込み
いろいろ言ってきたけど、とにかく現状稼働中のものを絞り込んでみておきたいもの、それが「プロジェクト」である。今いらんやろ、そう思ったらひとまず「いつか」にひっこめるのも手であろう。