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【映画】落下の解剖学

gaga.ne.jp

 

 曖昧で不確か、事象があっても確定することは難しい。見えるものは一部であって全てではない。

 ある事件の真相を確かめようとするが、記憶はあやふやで、検証してもそれを伝える人に偏りがあったり、視界が錯綜し、事実に向き合ったかと思えば次の瞬間には目の前から消えている、そんなもどかしい、歯がゆい内容だった。

 だが、私たちの見ている世界も同じく、このようにうろんな世界であり、そうは見えないように、碓氷のクリアな世界の一辺をなんとか見ているに過ぎない。

 

 ギャラリーは面白がり、真実は横において、より面白い物語を視界に置きたがる。ついさっき見たはずの映画も既に朧気だ。だが、こうだろうと決め、決めたそれらを何度もなぞっていくことで、私たちは現実という線をなぞっていく。

 

 最後は「本当にそうなのか?」という疑念に私の印象は落ち着いたし、それは映画の方向性として、正しい着地点だっただろう。どんなに事実を重ねても、確証性につながるわけではない。昨日の私と今日の私が同じだと言い切れない。そんな柔らかい世界の中を、私たちは生きているのだと、思い出した映画だった。

 

 そんな中でも本物はあった。息子に会わずに暮らしたいと言われて泣いた母親、ラストに彼女に寄り添う犬のスヌーズ。

 

 

 

 

 

 

 

 と、しんなりした話はおいといて、脚本賞とかいろいろ賞を取ってるこの映画だけど、すっごくわかる。そしてプロ受けするのもよくわかる。これらの賞からは、「自分が撮りたいと思っても絶対に撮れない映画じゃないのさ」という匂いがとても醸し出されている。

 映画の着地点。「え、結局どうなったの?」と思わせるのがこの映画のゴールだったと私は認識しているんだけれども、まさにそのゴールに着地するように導くことに成功していた。難着陸もいいところである。

 次に映画中の心の揺さぶられ感。これもまぁぐらぐらに揺らされて凄いものである。この人やっぱりいい人かも、と思った次の展開でまた悪い情報が出てくる。そういう感情の引っ張り合いをするのが絶妙にうまいし、「この人物は絶対良い人!」という感情に確定させそうでさせないところがうまかった。だから、この映画を見て大概の人は煮え切らないというかストレスのかかった状態になっていると思う。

 と、いうような所を意図して設計された映画である、と言う点を評価されたのがこの映画なんだろうなと思う。思うが、供給と需要は違うわけで、観客の方に「なんでこれが評価が高いのかよくわからない」というのもよくわかる。

 何せ、よくあるスキャンダルなすったもんだを目の当たりにした映画なのであって、烏合の衆というのはおおよそ、その上澄みをニュースで見るぐらいなのである。