私の友人にアンディ(仮名)がいる。
アンディは私より二回り以上は年上だが、元気である。昔は大酒飲みだったがとうの昔にキャリーオーバー*1をして、今ではおいしいもの大好きな健康オタクだ。
東にいい話を聞けば買いに行き、西にいいやり方を行けば試し、その行動はアグレッシブだ。途中やりすぎてなんだかほそっちょろい感じになったりもしたし、やばい時期もあった。だが、最近は調子よろしく、同じ会社の若手と同じくらいの食欲がありいろいろ食べている。
そんな中でやり玉にあがった一つの粉があった。
料理の調味料の一つの白い粉。
ツイッターやエックスでも散々ひと悶着もふた悶着もしている、あの粉。
料理にそれを入れるのを是か非かと問われつつ、アジアの一部地域では砂糖のごとくに使われている、アミノ酸由来のうまみ調味料のことである。
自然派は非常にこの粉を嫌っており、自然派に片足つっこんでるアンディもやはりこの粉を嫌っていた。
「使われてたらわかるもんね」
と、自信満々でアンディが言っていたのを思い出す。
まぁ、その言い分はわからんでもない。
私もきゅうりが嫌いだ。きゅうりが嫌いで、とりあえず冷やし中華にまざりこんでいる細いきゅうりだとしても、それを取り去るぐらいには判別がつく。生春巻きも、もちろん取り除く。ちなみに実家の幼少の頃には、食べる食べないの抗争をくり広げていた。が、チャーハンにきゅうりが入っていたことがあり、それを私が見つけてからは恒久的な休戦状態となっている。
私の話はさておきアンディだ。
そんなわけで、アンディは白い粉については非常に敵対視しており、その存在を自分は見極められるという確固たる自信をもって生活している。
同居人もアンディと仲良しだ。
同居人は料理がうまいので、アンディは同居人の料理をとても好み、一緒に食事する。
その同居人の作る中でお気に入りの料理がある。
しらすオムレツだ。
しらすオムレツは、お肉のかわりにしらすをたっぷり入れて作るオムレツのことだ。卵3個になみなみつくってふんわりとろーり作って絶品である。私も大好きだ。
アンディもこの料理をいたく気に入っており「おいしいよ」と、同居人ににこにこ顔で言っていた。
評判なので、同居人はこのしらすオムレツを何度か作ってはアンディや友人たちに披露していた。
ふと同居人に聞いてみたことがある。
私「このしらすオムレツってどう作んの?」
同居人「しらすは釜揚げシラス」
私「ふんふん」
同居人「たまごはおいしい卵を使う」
私「ほうほう」
同居人「そんで、魔法の粉」
私「魔法の・・・粉?」
同居人は神妙に頷いた。
同居人「これやね」
そう言って同居人が見せたのは、透明な瓶に赤いパンダ顔がえがかれた、白い粉であった。
確かにそれは魔法の粉だった。
あのアンディすらとりこにする魔法の粉。
でも、決してアンディには言えない、アンディに秘密の魔法の粉。
*1:アレルギーになった