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【映画】酒を呑むように映画をみよう、酔っ払い映画「バードマン」

 

レイモンドカーバーの話題が出た瞬間、私の中では「あ、この映画酔っ払い映画だ」という感想にストンと落ち着き、最後の最後までその印象が覆ることはなかった。私にとっては、そんな映画である。

 

「酔っ払い映画」と称するものの

そんな身もふたもない印象のこの映画なのであるが、とってつけたようで胡散臭いようだが味わい深い映画である。

誰もが映画のような人生をと望みながらも、映画と同じ人生を歩むことなどない、仮に人生譚として映画となっても、同じ時間を共有することなどない。しかし、主人公の彼はまさに人生が映画そのものであり、映画が人生そのものであり、二つの時間軸を融合させることができた稀有なる存在だ。

この映画の感想を書く前に見た評判では、映画の長回しがすごかったというのが一つの大きな評価だった。確かに長回しはそれだけですごい。いやまあ実際すごかったんだが、それによってもたらされる効果や意図がすっかり忘れ去られているように思う。

 

長回しの効果

とにかくこの映画、一回見てさっくり良かった悪かったと、咀嚼できるようなタイプの話ではない。対比されたテーマが幾つも出現しながらの長回しのカットは、絵巻物のように途切れず継ぎ足し語り継がれる秘蔵のタレと言えば聞こえはいいが、要するに飲んだくれが酒から醒めないように継ぎ足し継ぎ足し飲み続けた結末のようでもあった。そしてそれは、様々なものを一度に咀嚼させるよう私たちに強制させた。

そうでなくとも、バードマンという影の存在がまとわりつくような錯覚はこの長回しがあってこそだ。声だけがその存在の証拠でありながら、映画にしては無闇にキャラ達の回りをうろつくような視点が、あたかも自分がバードマンになってその場を観ているかのようにも見てとれる。

特に、この酩酊感というか酔っ払い感は奇しくも私自身も非常に感じた。後半、とにかくうざったらしく、いつ終わるかいつ終わるのかと毎回ここで切れるんじゃないのかと思いつつもどれ一つ間違ったまま終了する。終わりは、まさかそんなところでとも、まあこんなもんかとも、いずれにも言い切れる終わりで、結局主人公の彼はどうなったのかというと、謎のままに終わったのだ。

夢か現か、まるで胡蝶の夢のごとく、これは本当に現実の話なんだろうか、誰かの夢の中の話と言われてもおかしくないかのような、曖昧な結末である。またそこも、酔っ払いの夢と現実がないまぜになったかのような、あやふやな感覚そのものであり、そういう最後の後味すら、酔っ払い映画の名に相応しい映画であった。

酔っ払い映画とほめてんだかけなしてんだかわからないような感じであるが、評価がよいのはよっぱらいの酒が良い酒であることで、二時間の長いあいだも全くわるよいせず、途中寝ることもなく、興味が逸れることもなく、そこそこの集中力をもたらすことができたことだろう。

 

話については、対比の諸々、現実と幻想、映画と演劇、現実と演技、批評する者と表現する者、ネットとリアル、無視と注目などなどあらゆるものが話の中にちゃんぽんされた。でもまあここでは語るまい。

とにかく私が言いたいのは、この映画は、最初から最後まで、真に酔っ払い映画だったということである。酒を飲んだかのように浸れる映画はそうそうないだろう。

 

FOX movie - http://www.foxmovies-jp.com/birdman/

youtube - 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』予告編

https://youtu.be/0kDmvyDv-aI

youtube町山智浩が映画「バードマン」を解説

https://www.youtube.com/watch?v=LltSbwl-Zx4

サントラ http://wmg.jp/artist/birdman/WPCR000016445.html

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