すぐに売られていく食パンたち。
滅多にないと思われる空いた食堂内。
食パン専門店 セントル・ザ・ベーカリー
セントル・ザ・ベーカリーといえば、同居人が以前から行きたがっていた食パン専門店だ。VIRONの人が新しく作って、銀座にあって、高くって、そしてひたすら並ぶ。待つのは2時間なんぞ必至だった時も、悪い時には4時間も食パンのために並ぶこともあったぐらい。
メニューは3つしかない。山型のイギリス食パンと、四角い角食パン、そしてブルマンだったか(?)のいずれも食パンである。持ち帰りは食パンオンリー、イートインもあるが、もちろん食パンばかりである。
最近行っているジムの近くに、この店があるのを発見して、同居人の「セントル買いたい!!」という意気込みがどうやら発火した。丁度その日は折りしも雨、セントルの行列はいつものことだが、雨で尚且つ人通りが少なかったおかげか、「ちょっと待ってて!」と言い残して友人は列に並ぶ、30分もしないうちに購入。
「いやー2斤(通常の食パンの2倍の量)1個だけ買おうとしたら、お店の人に、『本当に一本だけでよろしいでしょうか?』で念押しされちゃったよー」
とは友人談。どうやらリピーターは2本以上買うのが通常らしく、パンができた端から買いたたかれていくらしい。
食パンは本当においしかった!
このお店、前からもいくつかテレビで紹介されてたし、前々から同居人が「行きたい行きたい!」と騒いでいたので、知っているには知っていた。でもな、たかだか食パンでそこまで銀座くんだりまでして更には並んで食べるほどなのか、食パンに?! と思っていた。そんな疑惑は覆された。
こりゃ並ぶわ、それぐらいおいしい。
買った翌日に初めて食べたところ、白い部分の密度が半端ない。この密度って、山崎のダブルソフトを思い出してて、それを更に濃密に水気たっぷり密度たっぷりな最上級にしたような食感だった。固いパンが多いフランス人がダブルソフトがすき、っていう人がいたけど、きっとこの食パンも好きに違いない。正直こんな毛布があったら寝て包まりたい、そういう食感である。
その中身もさることながら耳! 出色なのは耳がおいしいこと。
通常、耳というとぱさついてて堅くて、私はあんまり好きじゃない。だけどここのは耳がおいしい、耳といいがたいしっとりした食感。弾力性があって、コーヒー牛乳に浸して食べたらおいしいに違いない! 単品だっておいしいのは勿論だ。
生で食べると甘め。バターなどふんだんに使ってあるせいなのかまじ甘い。すぐに焼ける。サンドイッチにしてもおいしかった。
そのほかにはバターをつけてもうまい、ジャムをつけてもうまい、チーズと蜂蜜を混ぜたものをつけたっておいしい! なんでもござれである。
おいしいと思わしめる客観的基準
私がおいしいおいしいと言ったところで、実際どれぐらいおいしいかは納得しえないこともある。しかし、今回ばかりは言う以外にも影響が出た。
まず同居人。朝はいつもは外で食べるところが、朝パンを食べてから出るようになった。家で食べずに外に出ていくことが可能なのかといぶかしみながら見送る同居人が食べている。食べたとしても、バナナ、もしくはコーヒーなどの飲料水がほとんどである。十数年レベルで食べていないのにそのポリシーすら覆すセントルの食パン。
「朝食べなきゃ食べる機会ないんだよ!」
もっともである。でなきゃ私がしこたま消費したであろう。
次に私。同居人からの指摘になる。此度私はパンに対して珍しくも「おいしい」と言った。たかが「おいしい」の一言だが、これは珍しいことだそう。同居人いわく、
「アンタがパンでおいしいと言ったのは『シニフィアン・シニフィエ』とここんちの食パンと、私が作った中で一番できのいい時の3度だけだよ」
……そんなに言ってなかったっけ?
「そうだよ! いろいろおいしいパンを買ってきて食べさせてんのに、言ったのはその三度だけだよ~~~」
だそうである。よく見てるもんであるがそうらしい。
といったところで、このセントル・ザ・ベーカリーの食パンのおいしさが伝わっただろうか。ちなみにこの前の土曜日買って、日曜日から食べ始め、そろそろ終わりを迎えそうである。命短し食べよ食パン。