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GTD Japan Review(3) 日本でGTDが流行らない理由

前回は、そもそも私がどんな目的でGTD流行ってほしいのかを説明した。じゃあ何が足りなくて流行っていないのかを今回は見ていこう。

さて、日本でGTDを流行らせようと思った時、私は最初にアメリカでの現象と日本での現象の違いに着目した。もし、アメリカと日本との差異がわかれば、そこに注力できれば日本でGTDが流行る確率が高くなるに違いない! と。

国民性の違い?

で、最初の頃、ブログ記事でいろいろ見た時のGTDの誤解のされっぷりが気になった。GTDが時間を気にするのはカレンダーリストであって、それ以外のリストには、本来は時間の概念はない。というか区別されて考えている。しかし、ブログを見ていると、これを正確に理解されることが少ない。私もそうだった。思いっきり時間管理と間違っていた。そして、GTDを続けていくうちに、こういうものなのか!と合点がいくようになるのであった。

で、その誤解はどうしてするのか、を考えた時に、日本は時間で考える癖の人が多いからじゃないのか、と思った。つまり、国民性の違い。それを友達に話したところ「いやいやそうじゃなくて、アメリカと日本とじゃあ、仕事を回している人が違うからでしょ」と真っ当な意見を頂戴した。

その意見を聞いた時、素直に「そうだね!」とは賛成しなかった。

まぁ、ものすごく考えたのに一蹴されたので、意地になってその時は賛成しなかったんだな。日本人だからGTDを誤解しやすいのかどうかは、結局検証はとれなかったし、エマジェネティックスでも、思考スタイルの違いに国民性は関わってこない、と言った。つまり、国民性じゃないだろうと。それが一番堪えて、国民性の違いが、流行らない大きな要因とは今では思っていない。とはいうものの、誤解されやすいものとして、伝播の比率が多少小さくなるのは、小さな要因の一つだと私は思っている。

「アメリカと日本とでは、仕事を回している人が違う」?

GTDが誤解されやすいから、という要因は排斥された後、私は「アメリカと日本とでは、仕事を回している人が違う」という友人の意見を吟味していた。友人はこうも言った。「アメリカでは、戦略と仕事を回す人は一緒で、日本は別々だから」と。

丁度同じころ、タイミングよく私は日本でマネージャークラスのレベルに相当する人間を四人ほど見てきた。で、この四人にはひどく忙しい人と、そしてそうでない人の二パターンがあることに気付いた。

ひどく忙しい人はGTD勉強会で知り合った人だ。とても忙しく、その中で仕事を回すためにGTDにたどり着いた人である。一方の三人は、それなりに自分の中で仕事は回せていて、GTDはしていない人々である。

で、三人の思考にはいくつかの共通点があった。

  • 部下については、GTDのような仕事を軽減させるようなものをさせたいと思っている
  • しかしながら自分には、そういったものが必要とは思っていない
  • だって、GTDは自分にとってはすでに培われた手法であり、もうすでに似たものを持っている

忙しい人とそうでない人が、同じマネージャーレベルに存在するのは興味深かったし、忙しければGTDを選び、そうでなければ自分には必要ない、というような印象があるのもまた興味を引いた。つまりそれは、GTDがその人自身の忙しさによって必要性が変わるのではないのかと思ったのだ。

ここで、アメリカでのGTDの適用のされ方を振り返ってみよう。

アメリカでは、経営コンサルタントのDavid AllenがGTDをするのはマネージャクラス、つまり経営と仕事をまわす人たちである。これらの人に対して、DavidはGTDを適用し、そして効果をあげている。ところで、マネージャクラスになると普通に働いてても通常のよい成果を出すような人間がなるものだ。にもかかわらず、GTDのようなセミナーや研修などのテコ入れが必要になってくるのだ。これは何を意味しているのだろうか?

アメリカでも、優秀な人間であるにもかかわらず、その力を発揮できずにいる状況が存在しているということだ。レベルはどうあれ、私も最近になってそのような状況を私自身が体験している。そしてこれらの状況は今後も、誰でも、どんな時にでも、やってくる可能性がある。新しい仕事になれば、それだけでなる可能性は高い。

導きだされる流行らない理由

さて、以上の話と+αをまとめて言えることは、日本では、アメリカのように、GTDを心底必要とする人間が会社の中枢部におらず、GTDを誰かに適用した後展開が難しい。だから、日本ではアメリカほどGTDが流行らないのでは、と私は想定する。

確かに、GTDが一番の最適環境は忙しい状況に身をおいている環境である。そして日本ではそのような環境にいる人間は仕事を回している現場の人間であって、経営層に近い状態にあることは難しい。経営層はすでにそれなりの力を持っており、自分自身が能力を発揮できるように、仕事の量を調整できる立場にいる。GTDは仕事量を調整できにくい立場にいるからこそ必要となるのだ。

日本では、GTDの伝播の経路が会社の中で確立していない。そして何より、変革が必要なのは現場の人間であって、上部層の自分たちは対象外で必要ないと、信じている。本当に?

次回について

本記事では、日本でGTDが流行らないのは、アメリカでの展開のキーパーソンとなる所に、GTDがアプローチできる伝播経路がないことをまとめた。状況が異なるのは仕方がない。次回ではもうちょっと要素を分解してアプローチできる部分はないか探っていく。