第12回GTD勉強会のテーマは、みんなのツールを見てみよう! でした。
参加者のしぶかわさんが、みんなに自分のツールを見せるべく、プロジェクトモニタ持参で来ていただきました。重い中どうもありがとうございました! その回あってか、今回の勉強会は、モニタを通じて紹介するのが多く、珍しくデジタルなツールが目立った回でした。
今回の発表一覧
さて、今回の発表は以下の通りです。
・しぶかわさん - GTD+Dの紹介 ・kokaさん - RTMとGoogle Calendar ・nomico - 相変わらずFitzNOTE、時々Sticky ・しばさん - Outlook2007が使えるよ! ・うえぶんさん - アナログからRTMへ ・マロ。さん - 自作excelツールの紹介
どのツールも各々状況に合わせて趣向の凝ったツールでした。デジタルはRemember The Milkがやはり強く、上記の発表の中でも二人の方が使われていました。iPhoneからも気軽に表示できる点が評価されているようでした。この中で、一番歓声があがったのがマロ。さんの自作excelツールでした。
厳しい環境が生み出した、ExcelでのGTDツール
マロ。さんの職種は研究職です。最近のご時勢では情報に敏感ですが、研究のような職種では輪をかけて過敏です。マロ。さんの職場もその例に漏れず、ネット不可、フリーソフト不可、USBも以ての外、といったような隔絶された世界です。最先端なのですから、当然の措置でしょう。
ネットとフリーソフトが駄目だと、巷で紹介されているほとんどのサービスが、職場では使えません。そこで、マロ。さんが手にしたのが、ほぼWindows環境でないに等しい、Excelなのでした。
Excelは、通常表計算ソフトですが、結構いろいろできます。Excelは、Excel独自のプログラミング言語であるExcelVBA(以降、VBA)を使えば、自分でしたい作業を自動化することが可能です。私もログを集計するのにVBAを使ったことがあります。
マロ。さんのツールはそのVBAを使って、自動化処理を施したGTDツールを作ったのでした。
Excelで自動化されたGTDツールを使っての運用方法
このツールでは、家でExcelに項目を更新し、印刷した紙を会社に持っていって運用します。GTDツールは、この印刷するシートをいかに簡単に作成できるかに、心血が注がれています。
特徴その1 図解を踏まえた処理ステップ
処理ステップでは、
処理ステップでは、ワークフローにしたがって各『物』のリスト先を決めます。このワークフローは、正規のワークフローと若干異なります。異なる点は以下のとおりです。
- ネクストアクションのみでも、プロジェクトとして取り扱う
- プロジェクトの詳細については、このワークフローでは取り扱わない。したがって、プロジェクト以降のワークフローは削除し、2分かそうでないかの区別のみ取り残す
このワークフローでは、2分作業をこなす以外の、プロジェクトをブレイクダウンする等の細かい作業自体は、この処理ステップでは行わない、という趣旨になっています。
「処理」シートの「処理ステップスタート」ボタンをクリックすると、以下のようなダイアログが表示されます。このダイアログでは、処理ステップの対象項目を選びます。Inboxである「気になることすべてリスト」からはもちろんのこと、もともとあるプロジェクトリストやいつかやること/多分やることリスト等も、再度処理ステップにできることが特徴です。
選択が終わると、項目が順々に表示されます。「どのリスト?」で行き先を決めていきます。ここではプルダウンになっていますが、背後のワークフローに表示されている赤い文字を入力することでも、リストを決定できることができます。たとえば、プロジェクトであれば、「p」と入力することで、プロジェクトを選択することも可能です。
特徴その2 プロジェクトとネクストアクションのデータはボタン一つでGWeeklySheetに
このツールではプロジェクトはプロジェクトシートとして展開され、ブレイクダウンをして実行するアクションを洗い出します。その中から次に実行できる、ネクストアクションをリスト化します。
プロジェクトリストとネクストアクションリストを、どのように簡単に持ち運ぶか? それを、このツールではGWeeklySheetに組み込むことで実現しています。
GWeeklySheetは、私がgihyo.jpで連載していた時に、ひとまずはGTDを実行することを主眼として作成したシートです。使用期間は1シートで1週間をこなすことを想定しています。
右上にある画像をクリックすることで、自動的にシートに「NextAction」「WaitFor」「Project」に項目が埋め込まれます。
そういえば、このGWeeklySheetを出張するのに使っているという方も勉強会でお話されている人がいました。人によってはさまざまな使い方があるんだと、すごく新鮮でした。
特徴その3 危険なプロジェクトがすぐわかる、「進捗」シート
マロ。さんのツールの中で、一番秀逸だと思っているのが、この「進捗」シートです。以前、GTD勉強会の中で私が説明したイメージをそのまま実現したのがこのシートです。
インベーダーゲームは皆さんご存知のことでしょう。インベーダーゲームでは、時間が経つうちに上から敵が近づいてきます。プレイヤーは、敵が自分自身に当たらないように倒していかなければなりません。
プロジェクトが同時並行に動いているとは、いうなれば、このような状態なのです。ちょうど、プロジェクトを縦の列に見立てると、敵の数をアクションと見立てることができます。インベーダーゲームと異なるのは、敵の進む速さが列によって異なったり、途中で止まったりすることがあるということです。インベーダゲームを仮にGTDで説明すると、以下のような感じになります。若干無理があるかもしれませんが、そこはご愛嬌で(笑)
これを、GTDで表したのが、「進捗」シートです。
この図は今現在のプロジェクトの図を表しています。赤い○は作業が必要な内容、△は待ち状態のもの、■は決まった日に作業が発生するものです。各プロジェクトの配置は、完了予定日や締切日で設定されています。左に近づけば近づく程、現時間から近いものです。[]で囲った数値は残アクション数です。
プロジェクトは、時間によって変わるこの図の○を、いかに一番左側(つまり現在)に到達する前に、消化するかのゲームです。
時間によって、刻一刻とこの図は変更されており、徐々にプロジェクトは左側へ、にじりにじりと進み寄ってくるのです。危険なプロジェクトが、この図で一目両全です。配置されている場所が左であれば左である程、アクション数が大きい程、危険です。私たちはこのシートを見れば、左側のプロジェクトの項目から優先的に手をつけるべきだ、というのがわかるわけです。
以下にそのシートのリンクを張っておきます。ぜひお試しください!