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GTDメインのタスク管理と生息してますログを記載しています。

仕事の種類が変わってしまって計画通りにいかない

勉強会で貴重な話を聞きました。

今回関係するのはAさんです。開発系の会社に勤めており、社会人になって6年目になる状況です。そのAさんですが、今年の春にがらっと仕事が変わりました。

Aさんの仕事状況

Aさんは、それまで開発系の仕事をしてきました。開発の仕事なので、結果を出すまでの間隔が数ヶ月単位というものでした。それが今年の春から、人事異動で別の仕事に就くことになりました。Aさんは開発から離れ、全く別のジャンルの研究職に携わることに。研究職では、結果を出すまでの間隔は数ヶ月から数年単位になりました。

この数ヶ月間、Aさんは新しい仕事に取りかかっています。しかし、想定外の作業があったり、雑事に時間が取られて、計画通りに仕事が進まない――それがAさんの、最近の困ったことでした。

勉強会の中で、Aさんの内容についていろいろ話し合った最中、話題の焦点はAさんの雑事へと向けられました。雑事は代替ができないかどうか、とかいった提案も出てきたのですが、その雑事は会社の教育活動の一環で行われており、Aさん自身もすすんでそれをしていたとのことがわかりました。

その話をAさんがした時、一人の方がこう言いました。

「好きでやっているのに、どうして『雑事』って言うんですか?」

これは、ものすごく重要な指摘でした。

また、その雑事についてですが、最近始めたことではなく、もう数年はその作業を行っていることが明らかになりました。つまり、仕事が変わる前には、雑事は雑事でなかったはずなのです。

さて、今のAさんは一体どんな状況に陥っているのでしょうか?

Aさんの状況とは?

ぶっちゃけると、新しい仕事で予定通りいくわけがない、としかもう言いようがありません。これは簡単な話で、現状に応対できる実績がAさんの中で何もないからです。

社会人の「仕事」というと、一律に誰でも同じ方法が有効だと思ってしまうものですが、そうではありません。問い合わせの数が増えた、関係者が変わった――そんな些細な現状が変わるだけでも、今までのやり方が合わなくなることもあります。ましてやAさんは、主要となる仕事の種類がまったく異なるわけです。これですんなり計画どおりにいくはずがありません。

やり方が合わなくなると、どうなるのか。Aさんの状況に直面するわけです。つまり、計画を立てているにもかかわらず、計画通りにはいかなくなります。主要な仕事が変わったAさんにとっては同じ会社の仕事ですが、全く新しい仕事になってしまったのです。

結論として、次のような対策案をコメントしました。

新しい研究職の仕事については、最適化の状態を見つけるための試行段階と割り切り、いつも以上の仕事のバッファを取ること、雑事については粛々と仕事をこなすこと。

Aさんの困ったポイントまとめ

Aさんに私からコメントできることは以下の一点です。

  • 今現在、何が制御できて、何が制御できないかを考えてみる

Aさんには主要な仕事と雑事の仕事があります。主要な仕事が変わってしまい、雑事の仕事も制御できなくなってしまいました。しかし、雑事はそれ自体が独立して活動しているし、以前の仕事の中では制御できるものだったはずです。

長い間、一つの仕事に慣れ親しむと、新しい仕事にありつくとやり方に非常に困ることがあります。理由の一つに、考えが追いつかないから、というのがあると私は考えています。車が急停止できないのと同じように、ある仕事に合うようにカスタマイズされた思考パターンを、新しい仕事に合うように切り替わるには、時間がかかるように思います。Aさんの中でも、知らず知らずのうちに、計画の見積もりが、以前の仕事で適用できていた物差しで行っていることが関係しているかもしれません。

いくつかまとめ

Aさんの内容からいくつかまとめておきます。

  1. 制御できる限界
  2. 「雑事」という言葉
  3. 実績の分かれるところ

制御できる限界

GTDは新しいことを制御することはできません。けれども、GTDをしていくうちに、制御できるものとそうでないものを区別することができることでしょう。

GTDがいくら優秀なシステムであるとはいえ、もちろん無理なこともあります。その一つに、「新しいことを制御する」ことがあります。この言葉で指し示すものは、たとえば新しい仕事についても、どんな状態でもすがすがしい気持ちで取り組むことができるというものです。確かにGTDはどんな状況でもよい状態で仕事をすることを目標としています。しかし、どんなに好きな仕事でも限界はあります。

それに割ける時間、周りの期待度、その間に持ち合わせている仕事の量などなど、このようないろいろな要素から、求められている期日にまでゴールにたどり着ける算段がない場合、ストレスを感じやすいでしょう。私もGTDをやるようになってずいぶん経ち、それなりに仕事を回せるようになりました。それでも、全く知らない項目に対していつまで作業ができそうなのか考えて、うんざりすることから免れていません。

ではGTDはどうやって対応するのか? その他の制御できるものの力を抑えたり、そもそも制御できて後回しにできるようなことがあれば、それを中断して、使える力を集めることです。

「雑事」という言葉

些細な変化は、さまざまな形で出てきます。今回その変化は、言葉に表れ出てきました。

「好きでやっているのに、どうして『雑事』って言うんですか?」

勉強会の中である方が言われた言葉です。

最重要の仕事がうまくいっていない――そんな状況がいつの間にか、雑事と称される仕事は、Aさんの中で、仕事の中でもその他扱いになってしまっていたのです。本来ならば、好きで行っている仕事であるにもかかわらずです。このように、状況によってとらえ方は異なってしまいます。そして、そのような気持ちは、言葉になって現れ出てきたのでしょう。

このような変化は、非常にさしたることです。通常、このような差異を知りうることはなかなか難しいと思います。微々たる変化があること、そしてそのような変化を通常では読みとりにくいことを理解してもらえればなと思います。

最初は違和感、次に眉をひそめるようななんとも言いがたい顔の表情、それから作業をする際に漏れる些細な愚痴、そこから誰かに対して文句を言い始め、更にはそれを改善したいという不満を訴えるという形のように、変化は徐々に膨らんでいきます。

最初はそういった些細な部分を読み取ることが難しいですが、馴れてくるとそういう細やかな部分にも注意を広げていきたいものです。

実績の分かれるところ

仕事管理も「仕事」の一つです。要素がちょっと変わるだけで、快適な状態からはずれてしまうのも、当然の結果です。

Aさんが、メインの仕事で計画どおりにいかないのは、それに相応する「実績」がないからだ、と上記で述べました。複数の具体から一つの抽象に昇華することは可能ですが、一つの具体から抽象に昇華し、別の具体へと展開することは基本無理です。

私たちは、社会人になったら、会社での活動に関わることは全て「仕事」という一括りにします。しかし、その内容はそれぞれ異なります。仕事と他の仕事を区別する条件は、いくつもあります。個人の経験値以外の中で言えば、たとえば以下のようなものが考えられます。

  • 作業内容
  • ジャンル
  • 仕事場(物理的な意味で)
  • 人間関係(社内・社外含む)
  • 会社での立場
  • 個人特性

上記のうち、一つでも異なると、それは以前の仕事と同様のパフォーマンスを再現することが難しくなります。

Aさんの場合、「作業内容」と「ジャンル」が代わり、その結果「人間関係」も変わったことでしょう。関係者への融通の効き方も多少なりとも変化があったに違いありません。これで大きく3つの要素が異なりました。

このように、快適に作業ができる諸条件は入り組んでおり、私たちは簡単に快適な状況から外れてしまうものなのです。

今回はAさんのお話でしたが、Aさんは未来の私たちのことでもあるのです。人事異動や転職、人生のイベントで状況は変わっていきます。その度に再度仕事管理の仕組みを見返すことが、必ず必要となってきます。GTDをした後では、その新しい環境へ順応するのが、短い時間で対応できるのです。