http://news.aol.jp/2015/11/25/takeiso_bodycontrol/
といっても一週間も前の話なんだけど。
その日のマツコの知らない世界は、前半はフリークライミングの話。少し溝がありさえすれば、手を引っかけたいと、ちょっとコアな話だった。後半は武井壮の話。武井壮は元陸上選手で有名。いつの間にか売れてていつの間にか茶の間に見るようになった。彼は面白いエピソードがよくあって、寝るのが1時間もない、という超短期睡眠者、というのが最近の面白いエピソードだった。
でも理論は聞いたことないよな、というのが今回聞けるというわけだった。その中で二つほど印象に残った話を備忘録として残しておく。
水が飲めるように、全打席ホームランは打てないのはなぜか? という考え方
人は自然とこれが障害と認識するものである。あれがしたい!と思っていても、これこれこういう理由でできないよな、と自分で障害を見つけてはできない理由を見つけたり作っていったりする。だいたいこの障害を見つけるプロセスが「やりたい!」と思った瞬間と同時に始まり、そしてこれによって、おおよその人はやりたいと思った数秒後で「やらない」もしくは「できない」と判断し、その希望の種はすぐに駆逐される。
武井壮は少年の頃、「全打席ホームランを打てない」のは不思議だと思っていた。それこそ、水が飲みたいと思えば水が飲めるように、全打席ホームランを打ててもおかしくないだろうと。
でも実際は全打席ホームランなど難しいのである。理由など考えるまでもない。そう、考えるまでもないのである。
でも、わずかな確率でホームランが打てることもあるのだから、何かしら精度を高めれば連続してホームランを打てることも可能である。武井少年は「全打席ホームランを打ちたい」と思っていただろう。そしてその気持ちの前に、障害はカウントされなかったのだと思う。
この話は非常に重要だと思う。つまり、強い気持ちがありさえすれば、障害を見つけようとしない、もしくは見つけたとしてもそれを取り除こうとする意志が動くのだろう。自分の話でもちょっとしたことでもよくある。例えばいきなり明日旅行に行きたい!と思ったらいつもはぜんぜん決まらないのにするする決まっていったり、すぐさま予約を取ることができたりする。たいしたことだけど、そういうことなのだろう。
その後の武井少年は、ホームランを打つため、プロ野球選手のフォームを真似ようとし、実際真似たらビデオで確認したところぜんぜん異なることに衝撃を受け、次に自分の身体をコントロールできるようにしなくてはならないと思ったのだという。
100メートル走の走り方は、スタートダッシュ・中間・トップスピードで走り方が異なる
これは目うろこだった。
100メートル走というか陸上競技は門外漢だったので、どういう風に理論を構築しているのかを見たことがなかった。だいたい体育でもそんなに詳しく紹介するわけではないから、体育では地力で上下が出てしまう。どうやったら速く走るかなんて誰からも聞いたことがなかった。
武井の理論的には、重力との闘いだという。重力の負荷が少なくなれば、速く走れるようになるからそれをどのように減らしつつ、速度をつけていくか、そしてトップスピード後に力が温存できるかが問題だった。
スタートダッシュ・中間・トップスピードでどのようにやり方が異なるかはさっぱり忘れてしまったんだけど、その中でもハッとした内容がいくつかあった。
音が出ることはエネルギーを消費してるから、無駄な力を使った走るフォームをしていることになる
そんな中で、いかに省力的に動くか、ということがひとつの焦点に武井壮は話をしていて、びっくりしたのが「音を出しちゃいかん」てとこね。
音を出すにもエネルギーが消費されているから、それが走っている間に出たら走る以外にエネルギーを使っていることになる。だから、音が出るようなフォームは無駄な力のフォームである、と断言していた。
いわれてみれそうなんだけど、なんか、考えたことのないエネルギーの考え方だったのでびっくりした。脳みその使い方について、どういう風にエネルギーが消費されるのか、というのはよく考えることだけど、音はないわー。
スタートダッシュから中間での手を動かすのは、重力を軽減するため
走ると言えば、手を振るのが常道である。ただし、どうして手を振るかは知らない。走る際のバランスをとるため、手を振ればその反動で脚もよく動きやすくなるから、とかいったことも考えられる。
しかし、日本古来のなんば走りを考えると、どうにもそうとも思えない。なんば走りは、脚と手は交互ではなく同時に、つまり、左足と左手を、次に右足と右手を出す走り方であるし、この走り方で非常に速度があがったとかなんとかいうのもある。
そしたら武井が明快な答えを出していた。少なくともスタートダッシュ・中間時、手を振るのは重力を軽減するためであると。
実際武井壮はその場で手をふることで、身体が浮くことを見せていた。あれだけ浮くのならば走る際に非常に気をつけて実施すれば、かなりの重力の軽減が可能になるだろう。
マツコの知らない世界はだいたい毎週よく見ている。その中でも、武井壮の話はエキサイティングな話であった。陸上競技という、知っているようで知っていない世界だけに、どのような理論で秒数を削りあっているのかが知れて面白かった。