最近、といっても数ヶ月以内の話。非常に落ち込んだ時がある。そして珍しく、落ち込んだ瞬間をとらえることができ、そこに至るまでの経緯をなんとなく理解できた。
そして理解できた途端、本来落ち込んだ内容とは別に、理解した内容自体に落ち込んだ。なんつーの、ショックを受けたことにショックを受ける、みたいな。
■落ち込む瞬間の感覚と、そこに至るまでの経緯
落ち込む瞬間の感覚は、例えば「足下を掬われる」といった比喩に近い。そしてそこに落ち込むまでには、段階を踏んだ。
残念ながら、私の落ち込むプロセスは、ミルフィーユのように重なって発生するもののようだ。最初はひっかき傷、次に少し深くなって、その次に抉られ、最終的にはのっぴきならない状況に追い込まれるといったような感覚だ。その傷は、些細な行動や小さな情報の積み重ねだ。ただ、それが重なるタイミングが、あまりに悪い。
そしてのっぴきならなくなった時に落ち込み、そして落ち込んだ瞬間には、私はどうして落ち込んだのかがわからないが、落ち込んでいることだけは理解するのだ。
これが私の落ち込み方のようだ。そしてこの、ただひたすらに嫌なことが積み重なったことこそが、私が落ち込んだ時にすぐには、ほかの人には説明しずらい理由だとも思った。
■落ち込んだ状態を解消するには
さて、落ち込んだのは仕方がないとして、次に落ち込みをなくすためにはどうするか? 私の場合、自分で一番得意な方法をとる。つまるところ分解で紐解くことだ。
最初は、どんな具体的なことが落ち込ませる原因に落ち込んだのかを考える。
落ち込んだ状況をトラッキングできた状況を思い出すと、落ち込む要因となった具体的なことは、様々であり、そしてそれぞれに脈略とかそういったものはない。しいていうなら、私が少しでも落ち込む原因となりうるものだ。
「なぜそんなことで落ち込むの?」と考えたところで仕様のないものばかり。いつもは気にならない親知らずがしくしくし始めたと思ったら、昔の嫌なことを思い出してブルーになったとかそういう類のものだ。
落ち込みを解消させる暫定対応としては、ひもとき、そこに至るまでにどんなことを思い出したのかを正確に思い出す。私の場合。
あとは、しばらくしたら霧散するのは知っているから、寝たりして、感情が自然とニュートラルに戻るのを待つ。
まぁそんなとこ。
■解消のポイントは、別の価値を見つけること
ところで、解消のポイントは「分解する」ことじゃない。解消のポイントは、自分が得意な方法で、別の価値を見つけることだ。
私の場合は、分解対象、観察対象として「落ち込む状態」を正確に読みとることで、別の価値が生まれている。
これが以上にうまく働いているのは芸人やらネタを必要とする人間だ。どんなに苦労しても失敗しても、それがネタになるかどうかを考えることで、価値のないと思われた出来事に、価値ができる。
このように、人によって見つける価値は異なる。まずは、自分の好きなことに関連させられるか考えるのが一番てっとりばやいんじゃないかなと思う。
例えば、通常ありえない状況での本番状況の練習になるからといって、風邪になった状態でも練習しに先生の家に来たと言うピアニストだったかバイオリニストだったかがいたなぁとか。
他にもついてる!と思う絶好のタイミングだと考えるとか、ブログのネタにできるとか、悲劇のヒロインごっこができる最高のタイミングだとか。
今自分がしている何かと、落ち込んだ状態とを、ひもづけること――こうすることで、落ち込むことすら糧となる。
初出:
- 2010/08/09