ここ最近いろんなところで食事系のマンガは排出されていて、食傷気味であったのだが、おもしろいマンガだった。
このマンガ、食事系マンガである。
ただし、ダンジョンの。
■ダンジョンでの食事事情
ダンジョンとは、所謂ふぁんたじぃとかドラクエとかファイナルファンタジーとかそこらへんにあるダンジョンの話であり、もちろんそこに出てくる食材となるであろうモンスターたちも幻獣の部類で、この世に存在しているかというと全く存在してない。
つまり、通常の(この言い方も妙であるが)食事系マンガなら、この調味料とあの調味料の組み合わせが! あそこのお店屋さんが!!とかリンクして読者自身が実践したり訪問したりなどのメリットがあったりするのだが、少なくとも今世においてはその恩恵を受けることがないどころからメリットをことごとく潰している、全く役に立たない食事系マンガなんである。
■確かにファンタジー物語でも食事風景はあるけれど
とはいえ、通常のファンタジーマンガでも、食事風景がないというわけではない。煮たり焼いたりする風景はよく見かける。
あのモンスターの肉は焼いたらおいしいとか煮たらおいしいとか。
でもそこまでだ。
「ダンジョン飯」は、さらにその先の重箱の先をつついていく。あのモンスターをどのように裁き、どの部分をどのように調理し、食すのか、というのがことこまやかに説明されている点である。
煮る焼くは当然、干す、揚げるという調理方法を実践(?)し、なおかつ出来上がる料理は、現世にあるオムレツとかかき揚げとか。無駄に具体的なリアリティ。
まさかな、スライムの内臓がどうなってるかなんて考えたことがなかったし、マンドラゴラをどうやって調理すればいいのかなんて思いもよらない、まず食わない。ていうか選択肢ないし!
動く甲冑の仕組がまさか○○が××で△△じゃないかなんて、そしてそれをよもやまさか分解して食べようとするなんて・・・!
などなど、「あーあの食材ね、あるある」などという共感を全く呼び起さないのである。素晴らしい。
ちなみに私が好きなのは、マンドラゴラの味比較である。マンドラゴラとは人型をした人参ぽいもので、引っこ抜くと顔をした部分が雄叫びを出して回りの動物をぶっ殺すというとっても危険なやさい・・・じゃなかったモンスターである。
それを食すために頭をぶっきったものを食材として使っていたのだが、わけあって頭付のマンドラゴラが手に入り、味覚を比較してみたところ! 頭付の方がおいしかった事実が判明するという!!
食事系マンガなのに、全くもってこの役立たなさ感が半端なくよい。
一応このダンジョン飯をくらう一行には、ドラゴンに食べられてしまった仲間を助けるという大義名分…じゃなかった使命があるのだけれども、食事するのにかまけすぎて、本来のすべきことを忘れないで頂きたい所存である。
ところで、食材のリクエストができるのならば、リビングデッドあたりの腐った肉をどうさばくのかは気になるところである。