直感力セミナーに行ったというエントリーで話した、わけのわからん行動の一旦で買った本を紹介したいと思います。私がウェブから気になって、いてもたってもいられずに、本屋に買いに行ったことは、ここ最近ではありません。通常はウェブで読みたくなったら読書サイクルに従ってMediaMarkerに登録し、図書館にあるかどうかを確認し、予約するのが常です。しかしながら、そんな処理ステップをすっ飛ばして買ってしまったのです。
via シゴトに美味しいスパイスを 脳科学にもとづいて知的生産性を高める『エマジェネティックス』
とくに面白かったのは、個人の思考スタイルと行動スタイルの違いによって、文章の書き方もちがってくるので、文章からその人のスタイルがわかることが多い、というくだり。自分の仕事にも関係があることなので。
上記のサイトで非常に気になって、知ってから数日後に本屋で手にしたのが、この「エマジェネティックス―人の本質を“見抜く”科学」です。
確かに私は、今「脳科学」といった、脳関連について非常に興味を持っています。だからといって、それに関連する全てが全て、興味を惹くというわけではありません。しかし、私は長年の勘から行動するようにしました。つまるところ、「よくは解らないが、無意識の言われるがままにやらせよう」ということです。
そして、前回行ったセミナーで、その無意識の声が直感の一旦ではないかなと思った次第です。
そして、そんな、自分でも訳の分からない思考や行動も、この本は説明していました。それは、脳が4つある思考スタイルのうち、コンセプト型に寄与しているのと言うのです。
君の行動がおかしいわけではない、思考スタイルにおいてコンセプト型が強いからだ
エマジェネティックスとは、4つの思考スタイルと、3つの行動スタイルをもとにした、「人の特質」だと説明されています。人の特質は、この7つの要素の比率で表されることになります。これらの要素は、各々の特質に優劣はないことを強調しており、わざわざ、本で使用する指標についても、注釈があるぐらいです。どんなスタイルがあるかは、上部で紹介したURL先をご覧下さい。
それはそうと、P69から書かれているコンセプト型の思考スタイルは、うなずくことばかりです。特にP71の問題解決アプローチの部分は、こんなくだりがあります。
コンセプト型が問題解決にあたる際は、刺激を取り込めるだけ取り込み、あらゆる選択肢についてさんざん頭を悩ませたあと、答えがおのずと浮かんでくるまでとりあえずその問題を放っておく、というアプローチを取る。「そうか!」「わかったぞ!」という瞬間を待つのみ。
概ねがそうで、コンセプト型として重要なのは、「わかったぞ!」という瞬間を待つ、ということです。山を一つ一つ登るというような感じではないし、解決策を一つずつ消していくような感じでもありません。しいて言うなら、木を揺らしたり、石を投げてみたり、手を散々尽くしてようやく、栗の木から栗を落ちてくるのを待つような、そんなイメージです。しかも、栗を待っていたはずなのに、なぜか手にしたものが柿だったということもあるような、そんな風なのです。
コンセプト型の学習法も全く私のスタイルそのものでした。同じくP71に記載されている通りなのです。
コンセプト型の脳は、実験を重ねることで学び、あとは答えが自然に浮かび上がってくるのを待つ。こまごまとしたことには退屈するタイプで、マニュアルを読んだり、2時間の講義に耳を傾けたりするだけの辛抱は持ち合わせていない。
勿論、なんでもかんでもこの通りというわけではありませんが、確かに講義はいつも大の苦手でした。マニュアルを読まないことはありませんので、他の思考スタイルも影響しています。いずれにせよ、細かい話は苦手です。だいたい聞いてたつもりが、一番重要なところがすっぱ抜けていたということは、よくあることです。
こうして、私は自分の思考スタイルに理解を深めることができ、今までの行動パターンや思考パターンに自信がつきました。これからも、私の思考スタイルに合った今までのやり方を突き進めていこうと思います。
しかし、これだけでは私の直感がこうも急かすのは、おかしいです。多少のシグナルが発していても、あまりに強烈すぎます。もっと別の理由も含まれているに違いありません。そこで、こう仮説をたてました。GTDを説明する際のアプローチの仕方について、何らかの材料がほしかったのではないか?
直感が強くシグナルを発した別の理由
最近の私は、gihyo.jpで記事を書かせてもらったり、勉強会で説明したり、会社でもワークショップをやってみたりしながら、GTDを他の人に伝える機会を作っています。GTD自体の説明もさることながら、どういう人にどういう道筋で話せば、一番理解が得られるのか、ということに非常に頭を悩ませています。
勉強会は、もともとGTDを知っている人に話しているので、割と説明しやすいのです。が、会社でワークショップをやった時は、全く知らない人たちに説明することが非常に大変だとわかりました。そして、それ以上に、根本的に自分の話す道筋と、他の人が理解しやすい道筋が、どうにも異なるのだと、ようやく理解するようになりました。
まずはじめに思ったのは、話す相手によって親しみやすい言葉とそうでない言葉があることです。IT技術系の職種にある私にとっては馴染みやすい言葉のプロジェクト管理やステータスは、法律系の職種にある友人にとってはチンプンカンプンだといいます。これについては、使う用語について気をつければ問題ない話です。ここまでは私の知るところでしたが、問題はその後です。
私の話す道筋と他の人が理解しやすい道筋が異なる点については、皆目問題の解消の見当がつきませんでした。道筋が異なるのはわかったけれども、それをどうやって補正していけばいいのかがよくわかりません。理論と抽象の話をいりまぜてとか、そんなどころの話ではなさそうなのです。
それで、考えた挙句に、エマジェネティクスが、その道筋の材料となるものに提供するのではないかな、と思ったのです。というのも、エマジェネティクスの本の中にもかかれていましたが、思考スタイルが変われば、自ずと文章も異なるというからです。ならば、それを理解する方に混乱が招くのも道理です。それが、私の文章にも混乱が起こっているのではないかなと、思ったのです。
今回のエントリの意図するところ
今回の文章は非常にわかりにくい文脈になっています。本来ならば、こんな文章でまとめる予定でした。
無意識に急かされて本を買いました。本の名前は「エマジェネティックス(以下略)」。急かされて買ったのには理由があったのです。それは(1)私の考え方はわかりにくいけどコンセプト型だから(2)エマジェネティックスの考え方は、これから伝えることに役立てそうだからでした。
が、これは説明しやすくするための順序であって、実際には直感の3番目までのステップより導かれたものです。
(1)直感が働いた!(無意識に急かされて本を買いました。)
(2)直感を明確にする(本の名前は「エマジェネティックス(以下略)」。)
(3)直感はなぜ働いたの?(急かされて買ったのには理由があったのです。それは(1)私の考え方はわかりにくいけどコンセプト型だから(2)エマジェネティックスの考え方は、これから伝えることに役立てそうだからでした。)
それを、わざとらしく書いたのが、今回のエントリなのです。直感を意識的にまで引き上げる作業は、基本的には、赤ちゃんが泣いた理由を探し当てるのを同様に、自分の今の状況を鑑みながら、関係ありそうなものを引き当てるという作業ではないかなと思います。こういうようなステップについては、あまり書く機会がないので、今回セミナーも行ったことでよいタイミングだったので、合わせて書くことにしました。
最後に
現状の問題についても手助けとなるであろう本でしたが、今回一番の収穫は、私の自分の思考スタイルに問題ないことの裏づけが、直感以外にもできたことです。
私
は今のこのような取り組み方をする自分の頭が正直好きです。人には理解されにくいし、説明もおぼつかないこともよくあります。私自身ですら、自分の行動を理解しにくい部分もあります。例えば今回のような衝動的な行動をしたりするのが顕著な例です。理由を見つけるのは簡単な場合もあるし、そうでない場合もあります。それでも、そんな考え方と付き合う方法やうまいやり方があること、そして他の思考スタイルとコミュニケーションをはかるアプローチがあることを、この本から教えてもらいました。
あの人の思考がわからん、と思った人が読むと、何らかの足しになるかもしれない、そんな本でした。他にも、あの人の説明はつらいな、とか思ったりしたら、それは自分と相手の思考スタイルが異なるからだということで簡単に説明がつくようになります。そうすると、説明が自分にとって理解しにくい理由に説明がつき、その人自身を苦手になる率が下がるはずです。
それはともかく、自分の脳とこれからも付き合うため、正確なエマジェネティクスプロファイルを作ってみたいものです。