そういえば、社会人新人向けのタスク管理を紹介しているページってないんかな、と思ってちょっと言いたいことをまとめてみることにした。
正確には新人~中堅に至って破綻するまでのタスク管理についてだ。
タスク管理はいろんな所でよく書かれているけれども、どの状況で有用かを説明するには、実験なみに前提条件が必要なのは、あまり知られていない。
個人的にやりたいのは、「こういう状況に適したタスク管理とかツールってどういうものがあるの? それはこれだね!」というのがうまくまとまらんかなぁと思っている。
さて。
大昔の仕事と我々の仕事で異なる点は、同じ仕事がずっと続くわけではない点だ。仕事の種類も増えたし、一つ仕事をしていればよい、というわけでもなくなっている。
今となっては、私たちの仕事は絶えず変わりゆくものであり、仕事量も変遷していく。
仕事と仕事量が変わればタスク管理も変わる
仕事も変遷するし、仕事量も変遷していくんだけれども、これがタスク管理に直接影響が出てくる。つまり、仕事の内容とその分量によって、毎回タスク管理を見直す必要が出てくる場合がある。
少なくとも私はそうだったし、今もそうである。今うまくいっている(のかわからないこともある)タスク管理がいつまで有効なのかは戦々恐々たるものである。
新人から中堅までのタスク量とタスク管理ってどういう風だった?
ところで、新人のあたりから中堅どころまで、どのように仕事が増えていくか、あるいはどの時点ではどういったタスク管理をやってきたのか諸兄は覚えているだろうか。
今回はそれをまとめておこうと思う。といっても記憶もうろ覚えなので、確証は弱めだ。けれども、この管理方法やったわー、という共感は得られると思う。とりあえず私は一通りやった覚えがあるものを列挙している。
昔gihyo.jpで連載させてもらった所に、GTDを紹介する前段として仕事量の変遷を紹介した。今回は、そちらの内容を引用しつつ、紹介する。
なぜこの履歴をとっておくかというと、どうして徐々に必要になってくるのか、という説明に必要だからだ。
Level1. Todo管理+カレンダー
会社の研修が終わってOJTが始まりました。志村君が始めに渡された仕事は,片手で足りる数でしたが,念のため仕事をToDoリストにまとめ,作業が完了したらチェックボックスにチェックをつけて仕事が終わったか終わってないかを確認するやり方,つまり『ToDo管理』を行うことにしました。
しばらくして所属が決まり,志村君も部内ミーティングに参加するようになりました。部内ミーティングの時間はグループウェアのカレンダーに登録されます。こうして,『ToDo管理と会社のカレンダー』の二本立てで仕事管理をすることになりました。
タスク管理は、おおよそやることリストから始まる。期限日付の決まってないリストに、ミーティング用としてカレンダーを併用する。
最初の始まりはこんなところだろう。
Level2. 時間割管理
志村君が部に所属してからしばらくすると,プロジェクトにアサインされました。OJTの頃はさほど問題なかった仕事の量ですが,この段階になってくると徐々に仕事が増えてきました。
また,志村君は仕事を任されたことでやる気が増し,どんどん仕事をこなしたいと考えました。そこで,今までのToDo管理を止め,この時間に何をするという風に,一日の中での時間を割り振りながら仕事をこなすようにしました。志村君にとっての仕事管理は,時間割のように時間を決めて仕事をする計画を立てること,つまり『時間割管理』に変更になりました。
学生の時分のやり方の成功例として時間割管理を取りいれるのは、よくあるやり方だ。
かくいう私も、その日の時間配分を時間割にして実施していた。ただ、学生とは異なる状況もあるため、割と早くこのやり方は破綻する。そして次のタスク管理のやり方を探していくこととなる。
だいたいこのあたりからフランクリンプランナーを導入する人が増え始めるんじゃなかろうか。
Level3. 1日単位管理
実際,プロジェクトを進めてみると,自分の決めたスケジュールを進めることは難しいと,志村君は薄々感じるようになりました。
お客さんから電話が入ったり,同じプロジェクトメンバの先輩である加藤さんに相談しなくてはならないことが生じたり,逆に相談されたりなど,思いがけず時間を取られてしまうポロリと割り込む仕事(以下ポロリ)があるからです。
そうすると,一気に時間はずれ込みます。そこで志村君は仕事の管理方法を,時間割管理から,1日単位で今日はこれとそれをしよう,といった管理の仕方,つまり『1日単位管理』にシフトしていきます。ところが,志村君を取り巻く環境の変化はこれだけでは済まなかったのです。
時間割管理のやり方の次の方法として、約束する時間を延ばすという方法を、次の手法に取ることはよくある。
ここでもまだフランクリンプランナーでの管理はいける。1日1ページだから。
この日のこの時間に、ではなくて、この日中に済ませればよしとする、ということで管理方法を変えていく。
Level4. 週間単位管理
プロジェクトもだんだんと慌しくなり始めます。1日で消化できていた仕事がますます終わらなくなり,志村君は,仕事を次の日に持ち越すことが多くなります。
理由は簡単です。通常業務の増加に加え,今までそれほど問題でなかったポロリが,徐々に増えてくるからです。
順調に成長し,それだけ頼られる存在になっていく志村君。家に帰るのがだんだん遅くなる現実が辛くなってきた志村君。
せっかくの自分のスケジュール管理も,書いても書いても書き直しばかり。やることを次の日に書き直すことが面倒になり,1日単位から,1週間内に仕事こなそうとする『週間単位管理』に,志村君は変更せざるをえません。
しかし,週間単位管理でも,対応しきれない状況に陥りはじめます。志村君は奈落の底へゆっくり落ちていきます。
更に1日単位でも守りきれなくなると、1週間単位のスパンに区切って、その中でやればいいという割り切りへと変えることもままある。ただ、この場合、1日単位管理と約束する時間のスパンが変わっただけなので、要は後回し時間が増えただけだ。だから、この管理方法が、タスク管理の根本的解決を提供しているかというと、もちろんされていない。
ここらへんで、1日1ページだったフランクリンプランナーでの運用に限界が生じ始めるんじゃないかとにらんでいる。私は時間割管理あたりでフランクリンやめちゃった人なので、正直どうなのかはわからない。
Level5. 週間単位管理…?いいえ、GTDです
プロジェクトは佳境を迎えました。志村君も,いつの間にか任される仕事の範囲が広がり,致命的な問題が発覚すると,至急対応しなければならないような,緊急かつ重要ポロリが,志村君に降りかかるようになってきたのです。
志村君はジレンマに陥ります。仕事を任されるのは嬉しいけれども,だからといって家に帰るのが連日深夜になるのは望んだ状態ではない,そんなに俺の仕事管理が悪いんだろうか! いやいや,精一杯やってるさ,これが俺の限界なんだ。気持ちはささくれ立ちます。
だいたいここらへんで、自分で考えるタスク管理に限界が出てきたので、新しいやり方を探しに行った。
私はプログラマからキャリアが開始していたので、チケット管理システムが個人のタスク管理用に導入してみたり、新しいツールを探してはそれを導入してみたりした。
最終的に行きついたのは、GTDの考え方で、GTDと会わなかったら、今でも仕事という概念に忙殺されていただろう。
管理方法がうまくいかなかった理由2つ
自分の時間を区切って管理しようという方法がうまくいかなかったのには、学生時代と大幅に異なる状況があるからだ。
一つ目は、コミュニケーションなどによる割り込みと、割り込みタスクの存在だ。
学生時代は、時間割といっても勉強するのがタスクの全部であり、こういった割り込みで新しくすべきタスクが増えてくることはない。
しかしながら、社会人になって仕事をし始めると、リアルタイムで仕事が増えてくる場合がある。これが、時間で区切る管理(時間割管理、1日単位管理、1週間単位管理)では、対応するのが難しくなる。
また、コミュニケーションにさく時間も、社会人だと仕事のうちの一つになる。この時間をうまく取り圧変えられないのも、時間で区切る管理のデメリットの一つである。
二つ目は、達成するまでにいろいろなタスクをこなさなければならないプロジェクトが、並行して進む状況だ。
新人の頃は、そういったような状況は作らないように調整されているんだけれども、中堅になっていくにつれて、徐々にというかいつの間にか、そういったタスクというかプロジェクトが仕事として任されていくようになる。
時間で区切る管理では、もともと勉強するのをベースにした管理方法だ。ゴールがあるにしても、テストが何日後、という「目的はいつも一つ!」だけであって、仕事のように、個別にゴール日が異なるというわけではない。そんなんで時間割の見方だと、この仕事が実は今日中だった?!といったようなアラートを示すようなことはできず、対応が難しくなる。
この、いつの間にか仕事が任される、というのがポイントで、だいたいここらへんで、タスク管理にあぶれる人が増えるんじゃないかと思っている。
とりあえず、今回の記事は、GTDに至るまでの仕事と仕事量の変遷、そしてそれに関るタスク管理の問題点を明確にしたところで終了。次回については、私がよくやってきた管理方法のどこが悪いかについて書いていきたいところ。
直近でのタスク困った話はGTDの勉強会の時とかによく聞いてたんだけれども、新人の頃の話は聞いたことがないので、社会人1~2年目でタスク管理困ってる人がいたら是非教えてほしい。