https://happinet-phantom.com/sisu/
ジョンウィックの製作陣が作ったとあって、そういう感じの映画でした。
あらすじは、第二次世界大戦最中、一人金塊を掘り当てている男が、フィンランドに向かうナチスに金塊を奪われ、取り戻すため復讐する話である。
絶妙な設定
一番最初に思ったのは、絶妙な背景設定である。
- 第二次世界大戦末期
この末期。末期と言うのがミソだと思う。
まず、戦中末期という時代設定。一小隊規模の部隊が、戦争から外れた場所に移動していることを実現している。
次に、第二次世界大戦中ということで、ここに関わった国と敵対することを容易にしている。
更に、第二次世界大戦という時代背景が、出現する武器を制限している。
そして何より、この主人公が出現した背景が説明している。
昨今武器の性能もよくなりっぱなしなので、最近を時代設定にすると、シンプルな肉弾戦を表現するには説得力が乏しくなる。
また、この映画でのポイントとなる、ツルハシが、辛うじてなぜか使える武器として成立できるギリギリの時期でもあったのではないかと思う。
そんなこんなで、絶妙な時代設定に支えられて、面子の定義ができたように思う。
SISUという言葉
直訳すれば「不死身」だという意味。フィンランド語。詳しくその状況を説明すると、絶望的な状況に陥った中でも生き延びるその不屈さを示しているのだという。
思わず家にある、説明できない言葉集を出してきた。
SISUは載っているだろうか。当然ながら載っていなかった。こっちの本はもっとキレイでふわふわした感じの言葉をチョイスしてある。そんな場所に、こんな言葉は不釣り合いもいいところである。
それにしてもこの言葉すごい。
フィンランド、どんだけその状況があるねん。
言葉というのは面白く、頻度が多ければ多い程、毎回言うのが面倒くさいから言葉が定義される。ということは、SISUもまたこのような状況が大いにあって、それで定義されたのだろう。
バイキングで孤立無援になってウォーとか、厳冬の雪原で雪崩にあってウォーとか、腹をすかせた野生のアニマルと鉢合わせしてウォーとか、どんだけそんな厳しい目に合うんだフィンランド。
といいつつ、あながちウォーな状況が多いのではと思った。というのも、丁度会社の部会で、地元民から見た北海道のプレゼンを聞いたからであった。
とかく北海道は危険であると。冬は特に危険であると。氷柱は折ったら死ぬ、軒先も雪崩たら死ぬ、生水はエキノコックスとかヤバい、野生の動物も病原体でヤバい、川は境目わからん落ちたら死ぬ、熊キケン、バスが冬に運休になったらしぶしぶ歩いて帰るがそんな時は必ずといってホワイトバーン、などなど確かにウォーになりそうなシチュエーションが山ほどあった。
フィンランドは北海道より更に緯度が高いから、もっと頻度は高いのであろう。
始まりの金塊
すべての始まりだった金塊。結局、主人公は、何のために金を掘っていたのだろうか。結局その理由は明かされないまま、どこかの銀行で換金されるようだった。
タイトルは丁度、金塊のような形をしており、最後には鋳造されてなだらかになった。続編が出るとしたら、この金塊を資金にして何をするか、だろう。
映画自らネタバレして行く方向性なので、途中のサブタイトル(出るんです)も合わせて金色だった。
金塊かぁ。火中の栗ではあったけれども、謎は一つとして匂わなかったよ。ホントに。
死なない主人公は追いかける
さて。この話の醍醐味は主人公が結構な目に遭うのだけれども死なずに生き延びて、復讐を遂げる点だ。
馬と地雷にあっても、川に逃げて水没しても、首を吊られても(ここは無理ある)、飛行機にツルハシ一本で掴まっても(これも無理あったな)、とにかくまあ死なない。あまりに死ななくて、どこまでも追いかけてくる様はもはやホラーに近い。
主人公も痛そうで爽快感はない。むしろハラハラしっぱなしである。自分で銃創抉ったり、鉄格子を切って傷当てにしたり、むしろ気分はそれを見ていた敵役と同調する勢いである。
というわけでバイオレンスアクションを見たはずなのだが気分はどちらかというとホラーな気分になった映画でした。というか、隣の人がまた自分と同じように驚くので、ますますホラー感が強いのだよな。
オープン開始の映像は素晴らしく綺麗でした。